赤穂瀬戸内窯からのお知らせと陶芸家の暮らしエトセトラ
「春は名のみの風の寒さよ」
これは今まで3月によく口をついて出てきた歌でした。
今年は4月の中頃になっても風の冷たさに春の訪れを実感しないまま初夏を迎えそうです。
でも私には3月4日に「桜咲く」という便りが届きました。
田部美術館の「茶の湯の造形展」に入選の知らせがあったのです。
3年ぶり12回目の入選です。
昨年6月 乳癌という思いがけない病を得、手術、抗がん剤治療のため仕事を中断せざるを得なくなりました。
治療の為の検査が進むうち、私はまだ生かされるのだという思いを実感しました。
何をするために生かされているのか
生かされている命をどうすれば大切に使うことができるのか
未熟な私には解らない
とにかく
「やきものだけは止めたくない」
今年2月、自分の力試しの気持ちで毎年応募している「茶の湯の造形展」に出品の時期が来ました。
今年はパスしようかなと思いましたが、昨年6月までに造っていた作品の中で一番気に入っていた「黒陶窯変鉢」を出品しました。
煙をいっぱい吸って窯の中から出てくる黒陶が私はとても好きです。
そして「入選」
私が今から歩こうとしている道に、力強いエールを頂いた嬉しい出来事でした。
現在、放射線治療を受けながら、あせらず自然体で作陶の日々を送っています。
「茶の湯の造形展」は4月24日(土)から6月6日(日)まで
松江の「田部美術館」において開催されています。
生まれたての入選作
2009年3月8日、作陶3日目、2度目の磨きをしたところ、
この後もう一度磨きをして、乾燥させ、焼成します。